SANTA CRUZ(サンタクルーズ)の代名詞とも言えるリアサスペンション機構「VPP(Virtual Pivot Point)」。
長年にわたりロングトラベルモデルからショートトラベルモデルまでを支えてきたこのシステムから、新型Tallboy(Tallboy V6)ではあえて「4バーリンク」への変更という大きな決断が下されました。
なぜSANTA CRUZの開発チームは、象徴的テクノロジーであるVPPではなく4バーを選択したのか?
その裏側にある技術的背景とメリットを深掘りしていきます。

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そもそも4バーリンクとは?
そもそも4バーとは、フレームの前三角と後輪の間に、4つのリンクを4つのピボットでつないだレイアウトを可動させるシステムを指します。

▶︎4バーの特徴と仕組み
リアホイールの軌道を自由にコントロールできる
複数のピボットを介することで「後輪が上下に沈み込むときの軌道」や「サスペンションの縮みやすさ」を精密に設計できます。
ペダリングとブレーキングの影響を分離しやすい
「ペダルを踏み込んだ力でサスペンションが不要に沈む現象」や、「ブレーキをかけたときにサスペンションが突っ張る現象」を制御・緩和しやすいのが最大のメリットです。
ライダーが求める理想のサスペンション特性を引き出しつつ、フレームの軽量化を実現しました。
16種類のプロトタイプが生んだ最適解
開発チームは新型Tallboyの設計にあたり、最初から4バーありきで開発を進めたわけではありません。
複数の試作フレームと試作リンクを用いて、計16種類に及ぶサスペンション構成を徹底的にテスト・比較検証しました。
その中で「130mmトラベルのトレイルバイクにおいて、現代のライダーが求める走行性能と実用性を極限まで高めるための最適解」として浮上したのが、4バーのリンクレイアウトでした。
挙動の「均一性」と「扱いやすさ」の追求
ペダルキックバックを抑え、障害物をスムーズに乗り越える「アンチスクワット」
ショートストローク〜ミッドトラベルのバイクには、登りや平坦でのペダリング効率が重視されます。
従来のVPPは高いアンチスクワット性能(漕ぐ力によってリアサスペンションが沈み込むのを抑える設計)を持つ一方、ストローク初期のペダルキックバック(リアサスペンションが大きく縮んだ際、チェーンの張力でクランクが後方に逆回転させられる現象)が発生しやすい側面もありました。
新型Tallboyでは4バーを採用することで、アンチスクワットを低減且つ均一化。
また、ペダルキックバックの軽減までこなせるように。
さらに、素直にサスペンションが動いてトラクションを維持してくれます。

ブレーキング時もリアサスが固まらない「アンチライズ」
急な下りやコーナー手前での強力なブレーキング時、サスペンションが突っ張ってしまう現象を抑えるため、アンチライズを低く、且つストローク全体で一定に保持。
フルサスペンションe-MTBで培われたサスペンションコンセプトを踏襲し、ブレーキをかけている最中でもリアタイヤが路面を捉え続け、追従性と制動時の安定性を向上させています。
サスペンションの「ストローク感」を素直で自然な乗り味に調整
レバレッジ比(サスペンションの沈み込みやすさの変化)をあえて過剰に変化させず、素直で扱いやすい設定にチューニングしています。
ガツンとくる衝撃も滑らかに吸収
走り出しに引っかかりがなく、路面の小さな凸凹に対してもサスペンションが素直に動いてしなやかにショックを吸収します。
サスが沈み込みすぎず、ペダルを踏み込んでも動作が重くならない
サスペンションの中盤から奥にかけて「深く沈み込んで挙動がモタつく」ような動きを防止。
必要な踏ん張りを効かせつつも自然にストロークするため、トレイルでの加速や車体を押し込んで加速する動作が非常に軽快に行えます。

実用性とフレーム設計の自由度向上
リンク機構を4バーへ変更したことは、ライディング性能だけでなくフレーム設計全体に大きな恩恵をもたらしています。
フレームの大幅な軽量化
VPPのリンク構造や補強箇所を見直したことで、旧型Tallboy V5から300gの軽量化を達成
(同クラスの5010比では420g減)。
全モデルで最高級の「CCカーボン」を採用することと相まって、登りの軽快感を圧倒的に引き上げています。
シートポスト挿入長の改善
VPPのロワーリンク周りの制約がなくなったことで、シートチューブを深くまで使ったドロッパーポストの挿入が可能になり、より長いストロークのドロッパーを選択できるようになりました。

ダウンチューブの直線化と「Glovebox V2」の最適化
ダウンチューブをより長く、ストレートに近い形状になったことで、フレーム内ストレージ「Glovebox V2」の収納性と使い勝手の向上を同時に実現しました。
「VPPの伝統」よりも「最高のトレイル体験」を選択
SANTA CRUZがTallboyで4バーを採用したのは、決してVPPの否定ではなく、「130mmトラベルのトレイルバイクとして最高のパフォーマンスを引き出すため」の必然的な進化です。
より軽やかで、ブレーキング中も路面を放さず、乗り手へ不要なキックバックを与えない新型Tallboy。トレイルを一日中走り回り、登りも下りも100%楽しみたいライダーにとって、この4バーへの変更は最大のメリットとなるはずです。


